非公式理論の紹介は、独自にまとめたかんたんな説明です

成人発達理論とは

子どもが成長するように、大人になってからも物事の受け止め方は変わり続ける。その変化を「段階」として捉えようとするのが成人発達理論です。ここでは、このチェックの土台にしているロバート・キーガンの考え方を中心に、かんたんに紹介します。

大人の心も発達する

知識やスキルが増えることとは別に、「同じ出来事をどう受け止めるか」という枠組みそのものが、大人になってからも変わっていくことがあります。

たとえば、友人に送ったメッセージに半日たっても返事がないとき。ある時期の自分は「何か気に障ることを言ったかな」と何度もスマホを見てしまい、別の時期の自分は「忙しいのかもしれない。伝えたいことは伝えたし、返事を待とう」と落ち着いていられる。出来事は同じでも、受け止め方の構造が違います。成人発達理論は、この構造の変化に注目します。

ハーバード大学の発達心理学者ロバート・キーガンは、こうした変化を「主体」と「客体」の関係として説明しました。

「主体」と「客体」

主体(subject)
自分がその中に埋め込まれていて、見えていないもの。「自分そのもの」になっているため、距離をとって眺めることができません。
客体(object)
一歩引いて眺め、考えたり扱ったりできるもの。

キーガンの考え方では、発達とはそれまで主体だったものが客体になっていくことです。たとえば「周りからどう思われるか」に埋め込まれている人にとって、他者の期待は自分を動かす前提そのものです。それを客体として扱えるようになると、期待は「一つの情報」になり、自分の基準で判断できるようになります。

段階の概要

このチェックでは、大人によく見られる次の段階を扱います(名称は本チェックでの呼び方です)。

段階主体(見えにくいもの)客体(扱えるもの)強み
第2段階:道具的自分の欲求・利害・その場の衝動具体的なモノや出来事、外から与えられたルール自分が何を必要としているかが明確で、率直に行動へ移せる
第3段階:他者依存他者の期待・関係性・所属集団の規範自分の欲求や衝動相手の気持ちを汲み、関係や場を大切にできる
第4段階:自己著述自分の価値体系・アイデンティティ・信念他者の期待や関係性自分の軸で判断し、一貫性と責任をもって進められる
第4→5移行期自分の体系の限界への気づきと、それに伴う揺らぎ単一の価値体系多様な視点に開かれ、判断を保留して深く聴ける
第5段階:自己変容体系同士の関係・矛盾の中で変わり続けるプロセス自分の価値体系(複数の体系として)矛盾を保持し、対話を通じて自他の見方が変わることを歓迎できる

移行段階の読み方

段階はある日突然切り替わるものではなく、少しずつ移っていきます。キーガンらの主体―客体インタビュー(SOI)では、段階と段階のあいだを次のような表記で細かく表します。このチェックの結果も、この表記を借りています。

  1. 3
  2. 3(4)
  3. 3/4
  4. 4/3
  5. 4(3)
  6. 4
3
第3段階
3(4)
第3段階が中心だが、第4段階の兆しがある
3/4
両方あるが、まだ第3段階寄り
4/3
両方あるが、第4段階寄り
4(3)
ほぼ第4段階だが、第3段階が少し残っている
4
第4段階

段階は優劣ではない

  • 上の段階ほど偉い、ではありません。段階は、環境が求める複雑さにどう適応しているかを表すものです。どの段階にも固有の強みがあります。
  • 領域によって段階は違いえます。仕事では第4段階、親しい人との関係では第3段階、ということもよくあります。
  • 無理に「上げる」ものでもありません。いまの自分が何に埋め込まれているかに気づくこと自体に意味があります。

このチェックでわかること・わからないこと

このチェックは、15のシナリオで「最も近い」「最も遠い」受け止め方を選んでもらい、選び方の傾向から段階のおおよその位置を求めるものです。

キーガンらの本来の測定法は、訓練を受けた面接者が1時間ほどの対話を通じて判定する主体―客体インタビュー(SOI)です。本チェックの結果はSOIの判定とは異なり、同等の測定ではありません。自分を振り返るきっかけとしてお使いください。

非公式本ツールは、ロバート・キーガン氏の成人発達理論を参考に独自に作成した非公式のものです。キーガン氏をはじめ、成人発達理論の研究者・著者・翻訳者・関連団体とは一切関係がなく、監修や承認も受けていません。理論を正確に反映したものではありません。

もっと知りたい人へ

成人発達理論について詳しく知るには、次のような書籍があります(本ツールはいずれの著者・訳者・出版社とも関係ありません)。

  • ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー『なぜ人と組織は変われないのか』(英治出版)
  • ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒーほか『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』(英治出版)
  • オットー・ラスキー『「人の器」を測るとはどういうことか』(日本能率協会マネジメントセンター)
  • Robert Kegan, In Over Our Heads(Harvard University Press)

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